日本では情報が少ない希少な熱帯果樹シダーベイチェリーの栽培記録です。
サクランボに似た、赤い艶のある果実がなります。
海外ではフルーツとして扱われ、生食やジャムに利用されます。
シダーベイチェリーを栽培してみた感想
- 耐寒性がある熱帯果樹(最低気温0℃目安 霜・積雪厳禁)
- 果実の可食部は少ないが甘く美味しい
- 葉に艶があり、新芽は赤味を帯びて美しく観葉植物としてもおすすめ
実際に栽培してみて、収穫まで特に難しい熱帯果樹ではありませんでした。
果樹としても観葉植物としても魅力的な熱帯果樹です。
シダーベイチェリーとは
オーストラリア原産のフトモモ科の植物です。
Cedar Bay Cherry(シダーベイチェリー)の別名は下記の通り
Eugenia reinwardtiana
(エウゲニア レインワルドティアナ)
Beach Cherry
(ビーチチェリー)
熱帯果樹の中では耐寒性に優れており、霜の降りない地域であれば地植えも可能です。
艶・厚みがある葉は美しく観葉植物としても価値があります。
1本で実がなる果樹なので簡単に栽培・収穫ができます。
栽培環境(気温)の条件が揃えば開花結実を繰り返します。
美しい白い花
花は素朴で可愛いらしい白い花が咲きます。
同じフトモモ科のグアバに似た花です。
果実の味は?
シダーベイチェリーの果実は2センチ程度
鮮やかな赤色の艶のある果実
シダーベイチェリーの味は?
サクランボ(果汁少なめ)
完熟した果実はしっかり甘味を感じ、口の中に花の香りのような風味を感じます。
種子はクリーム色(時間が経過すると茶色へ変化する)
果肉と種子の剥がれが良く食べやすいです。
種が大きく可食部は少ないことがマイナス点です。
種子を蒔く場合は採取後にすぐに蒔きます。
乾燥させてしまうと、発芽率が大きく下がるので注意が必要です。
種から育てる
シダーベイチェリーは種から簡単に増やすことができます。
発芽温度は25℃~30℃が適しています。
種まきから1ヶ月程度で発芽します。
種子から栽培した場合は開花結実まで5年程かかります。
シダーベイチェリー栽培ポイント
耐寒性に優れた熱帯果樹です。
栽培経験から群馬県の無加温ハウスで栽培可能でした。
シダーベイチェリーの耐寒性は?
最低温度の目安は0℃
寒さには強いですが霜や冷たい風には注意が必要です。
成木になれば0℃以下にも一時的には耐えますが、地植えする場合は霜や風邪対策として不織布で保護するなど防寒対策が必要となります。
沖縄など暖かい地域を除いて基本的には鉢植え管理がおすすめです。
鉢植え管理のメリットとしては、根域制限することで株の成熟を早めます。
その結果、開花結実を早めることに繋がります。
シダーベイチェリーは自家結実性のある熱帯果樹です。
植替え時期は?
寒さが和らいだ3月〜4月が適期
最低気温が10℃以上になった頃が目安となります。
使用する土は?
市販の果樹用培養土を使いましょう。
自分で配合する場合は赤玉土:7、腐葉土:3、肥料【元肥】:適量を混ぜると良いです。
置き場所は?
日が当たる場所が適していますが、耐陰性もあるので室内管理も可能です。
夏の強い日差しには注意。
遮光ネットを活用しましょう。
冬は霜や冷たい風が当たらない場所に置きます。
室内管理ではエアコンの風が直接当たらないようにします。
夏と冬で置き場所を変えることが上手に育てるポイントです。
水やりは?
しっかりと土の表面が乾いたら、たっぷりの水を与えてメリハリのある水やりを心がけます。
気温が低くなりましたら乾燥気味に管理をすることで耐寒性を上げることができます。
冬場の室内管理は水分チェッカーがおすすめです。
肥料は?
肥料はマグァンプKなどの緩効性肥料を与えると良いです。
肥料は春と秋の2回与えると生育が良くなります。
葉の状態を見て色が悪い場合は微量要素や薄めた液肥を与えます。
活力剤を葉面散布することで艶のある美しい葉を観賞できます。
剪定は?
鉢植えの場合は、鉢の大きさに合わせて剪定しましょう。
ひこばえは株元が混み合うので剪定します。
枝が混み合うと病害虫の発生に繋がりますので、風通しも意識して枝数を調整します。
病害虫は?
カイガラムシ
風通しが悪いと発生します。剪定や置き場所を適切に行うことで防げます。
月に1回は枝葉を近くで見て確認しましょう。
カイガラムシからの排出物で、すす病を発生させますので日々の観察が大切です。
葉に黒カビ(すす病)は、ペーパーで拭き取りましょう。
コガネムシ
鉢植えの場合は地表にネットを掛けて産卵を防止します。
産卵時期の7月~9月は特に注意が必要です。
コガネムシのサイクルや対策はこちらをご覧下さい↓
シダーベイチェリー栽培記録
実際の栽培記録
写真下に撮影日を記載しています。
成長速度や管理場所など着目して下さい
定期的に何かあれば更新していきます
2019年 栽培記録
2019.7.30に栽培開始
入手先はメルカリです。
1万円を超える高額苗でしたが、開花結実株を購入しました。
植替え
株に対して小さい鉢だった為、直ぐに植え替えを行いました。
鉢底には赤玉土(大)
果樹用の培養土に赤玉土【小粒】を3割ほど混ぜた土を使用しました。
元肥としてマグァンプKも適量配合しました。
開花結実
次々と開花します。
白い花にはハナアブなどの昆虫も寄ってきています。
入手時に付いていた幼果が熟しました。
初の収穫です。
果実の形状は、丸や少し長細い丸などバラツキがあります。
濃い緑の葉に、真っ赤な果実は観賞していて美しさを感じます。
4個の果実を収穫できました。
実食
しっかりと甘味を感じます。
サクランボに近い味と表現されますが概ね合っています。
写真をみてわかる通り種子が大きい。
可食部は少ないのが残念です。
2020年 栽培記録
初の冬越
2019年の11月中旬から室内管理に切り替え。
最低気温が5℃を下回る時を室内管理への切り替えの目安としました。
置き場は日が少しだけ入る玄関
薄暗いと感じましたが、特に植物用ライトは使用しませんでした。
落葉発生
室内管に切り替えてから少しずつ落葉が発生。
4月中旬になり、気温も上がってきたので屋外管理へ切り替え。
約半分程落葉しましたが無事に春を迎えました。
冬越し成功
屋外管理へ切り替えてからは、新芽も沢山でてきて一安心。
6月梅雨時期に入り、花芽も確認できました。
開花から1ヶ月程で収穫ができます。
綺麗な艶々の赤い実が沢山つきました。
双子の果実【融合果実】
果実が2つ融合した面白果実を発見。
自然の神秘を感じます。種は2個入っていました。
無加温ハウスでの冬越し
2020年~2021年の冬越しは屋外の無加温ハウス。
耐寒性は強いと言われていますが心配です。
2021年 栽培記録
順調に越冬中
私の住まいの群馬県では1月~2月が寒さのピークです。
屋外の最低気温はマイナス5℃になる日もあります。
3三重張りの無加温ハウス内も0℃以下になる可能性もあり、熱帯果樹には厳しい環境です。
水の管理は注意。
乾かし気味に管理して、水を与えるタイミングは暖かい日の日中に行いました。
乾かし気味に管理することで耐寒性を高めることができます。
耐寒性に期待
そんな中、シダーベイチェリーは耐寒性の強さを見せてくれました。
寒さによる落葉はほとんどありません。
若干葉が赤茶に紅葉した程度です。
余裕の冬越し
寒さによるダメージは無いに等しい結果となりました。
0℃以上を保てるのであれば、室内より屋外の冬越しの方が良い結果が得られました。
ハウス内管理を継続
2021年はハウス内で管理をしました。
遮光ネット(50%)をしており、屋外よりは日当たりは良くありません。
結実が少ない
開花は沢山するものの、結実数は去年より少なめな気がします。
原因は
- 受粉を助ける昆虫が少ない
- 高温(40℃超え)による着果不良
が考えられます。
少量ですが開花結実を繰り返しています。
2022年 栽培記録
冬越しは心配していません。
無加温ハウスでの冬越しです。
植物には馴化(環境に慣れていく)がありますので、去年より葉の色も良い気がします。
新芽は少し萎びていますが全く問題ありません。
実生1年生の幼苗も成木同様に耐寒性があるようです。
温度記録を取る
2022年度からはハウス内の温度の記録も取り始めています。
栽培情報が少ない植物の情報をより正確に発信する為です。
1月下旬の時点でハウス内の最低気温は1.5℃でした。
0℃以下になっていないことに驚きでです。
グラフ型温度計に変更
最低、最高気温だけではなく温度変化の推移も見ることにしました。
2月27日の温度変化のグラフがこちらです。
日中は30℃を越えて、夜間も9℃までしか下がっていません。
ハウス内管理 花芽確認
ハウス内管理では4月から花芽の確認ができます。
果実拡大写真
シダーベイチェリーの栽培サイクル攻略です。
今後も栽培記録は定期的に更新してきます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
情報交換はお気軽にTwitter→あつお
基本毎日ツイートしてます。
関東【群馬県】で熱帯果樹や珍しい植物を育てています。一人でも多くの方に魅力を伝えたく栽培記録など情報発信しています。
まとめ
シダーベイチェリーは熱帯果樹の中でも耐寒性に優れています。
赤い果実はサクランボの様な味で美味しいです。
葉は厚み・艶があり観葉植物としての価値もあります。
苗を入手する為には、フリマサイト等の個人間取引がメインとなります。
是非、機会があれば育ててみて下さい。
以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。